内痔核(いぼ痔)
内痔核とは、肛門の内側にできる痔核です。 一般に「いぼ痔」と呼ばれることもあります。 肛門の奥のやわらかい粘膜側にできるため、初期には痛みが少なく、 出血や脱出で気づくことがあります。
排便時に血が出る、肛門から何かが出てくる、排便後に自然に戻る、 指で押し込まないと戻らないなど、進行度によって症状は異なります。


肛門からの出血は、内痔核だけでなく、大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患などでも起こります。 出血が続く場合や、便潜血検査で陽性を指摘された場合は、自己判断せずご相談ください。
内痔核の主な症状
| 出血 | 排便時に鮮やかな赤い血が出ることがあります。 紙につく程度から、便器が赤くなる程度まで出血量はさまざまです。 |
|---|---|
| 脱出 | 排便時に肛門から痔核が出てくることがあります。 進行すると、自然に戻らず、指で押し込む必要が出てくることがあります。 |
| 違和感 | 肛門に何かがある感じ、残便感、すっきりしない感じが出ることがあります。 |
| 粘液・汚れ | 脱出をくり返すと、粘液が付着して下着が汚れたり、かぶれやかゆみの原因になることがあります。 |
| 痛み | 通常の内痔核では強い痛みが少ないこともありますが、 大きく腫れて戻らない場合や、嵌頓痔核では強い痛みを伴うことがあります。 |
内痔核・外痔核・内外痔核の違い
痔核には、できる場所や状態によって、内痔核、外痔核、内外痔核があります。 症状が重なっている場合もあるため、診察で状態を確認することが大切です。
| 内痔核 | 肛門の奥のやわらかい粘膜側にできる痔核です。 出血や脱出が主な症状です。 |
|---|---|
| 外痔核 | 肛門の外側の皮膚側にできる痔核です。 腫れ、痛み、しこりとして気づくことがあります。 |
| 内外痔核 | 内痔核と外痔核が合併している状態です。 脱出、腫れ、痛み、違和感などが重なってみられることがあります。 |
内痔核の進行度
内痔核は、脱出の程度によってⅠ度からⅣ度に分類されます。 治療方針を考えるうえで、どの程度脱出しているかが重要になります。
| 程度 | 図 | 症状 |
|---|---|---|
| Ⅰ度 |
|
痔核の脱出はなく、出血や違和感が中心です。 |
| Ⅱ度 |
|
排便時に痔核が脱出しますが、排便後に自然に戻ります。 |
| Ⅲ度 |
|
排便時に脱出し、指で押し込まないと戻りません。 軟膏などで改善しない場合は、手術を検討します。 |
| Ⅳ度 |
|
常に脱出している状態です。 手術が必要となることが多くなります。 |
内痔核の原因
内痔核は、肛門周囲の血流が悪くなったり、排便時に強くいきんだりすることで起こりやすくなります。 便秘、下痢、長時間のトイレ、妊娠・出産、長時間の座位などが関係することがあります。
| 便秘・強いいきみ | 硬い便や強いいきみは、肛門に負担をかけ、痔核の腫れや脱出につながります。 |
|---|---|
| 下痢 | 下痢をくり返すと肛門が刺激され、痔核の悪化につながることがあります。 |
| 長時間のトイレ | 長く座っていることで肛門周囲に負担がかかり、うっ血しやすくなります。 |
| 妊娠・出産 | 妊娠中や出産時の圧迫、いきみなどにより、痔核が悪化することがあります。 |
| 生活習慣 | 長時間座る仕事、飲酒、刺激物、冷えなどが症状に影響することがあります。 |
診察について
診察では、出血の状態、脱出の程度、痛みや腫れの有無、 内痔核だけか、外痔核を伴う内外痔核かを確認します。 必要に応じて、肛門鏡で肛門の内側を確認します。
| 出血の状態 | 出血の量、色、頻度、便との関係を確認します。 |
|---|---|
| 脱出の程度 | 自然に戻るか、指で押し込む必要があるか、常に出ているかを確認します。 |
| 痛み・腫れ | 嵌頓痔核や血栓、炎症を伴っていないか確認します。 |
| 大腸の確認 | 出血が続く場合や便潜血陽性の場合は、大腸内視鏡検査を検討することがあります。 |
内痔核の治療
内痔核の治療は、進行度、症状、脱出の程度、出血の状態、生活への影響によって異なります。 軽症の場合は、便通の改善や軟膏・坐薬などの保存的治療を行います。
出血や脱出をくり返す場合、保存的治療で改善しない場合は、 ジオン注硬化療法、ゴム輪結紮法、痔核根治手術などを検討します。
| 保存的治療 | 便通の調整、生活習慣の見直し、軟膏・坐薬などで症状の改善を目指します。 Ⅰ度から軽いⅡ度の内痔核で検討されます。 |
|---|---|
| ジオン注硬化療法 | 痔核に薬剤を注射し、出血や脱出を改善させる治療です。 切らずに行える治療ですが、適応となる痔核と適応になりにくい痔核があります。 |
| ゴム輪結紮法 | 内痔核の根元をゴム輪でしばり、痔核を自然に脱落させる治療です。 内痔核のみが適応となります。 |
| 痔核根治手術 | 脱出が強い場合、内外痔核を伴う場合、複数の痔核がある場合などに検討します。 痔核を切除し、根本的な改善を目指します。 |
ジオン注硬化療法やゴム輪結紮法は、すべての痔核に適しているわけではありません。 痔核の種類、脱出の程度、外痔核の有無を確認したうえで治療方法を選びます。
嵌頓痔核について
痔核を放置していると、急に大きく腫れて戻らなくなることがあります。 これを嵌頓痔核といいます。 強い痛みを伴うことが多く、痔核が重症化した状態です。
痛みや腫れが強い場合は、まず薬で腫れを落ち着かせてから手術を検討することがあります。 痛みが非常に強い場合には、緊急で手術を検討することもあります。
急に大きく腫れて戻らない、強い痛みがある、座れないほど痛い場合は、 嵌頓痔核や血栓、膿瘍などの可能性があります。 早めに受診してください。
当院の内痔核診療について
当院では、内痔核の進行度、脱出の程度、出血の状態、外痔核を伴うかどうかを確認し、 患者さんに合った治療方法を検討します。
軽症の場合は保存的治療を基本とし、症状が強い場合や再発をくり返す場合は、 ジオン注硬化療法、ゴム輪結紮法、痔核根治手術などを状態に応じてご提案します。
診療で大切にしていること
- 出血、脱出、痛み、腫れの有無を確認します。
- 内痔核の進行度を確認し、治療方針を検討します。
- 内痔核だけでなく、外痔核や内外痔核を伴っていないか確認します。
- 保存的治療、ジオン注硬化療法、ゴム輪結紮法、手術の適応を判断します。
- 出血が続く場合は、大腸の病気が隠れていないかも確認します。
受診の目安
次のような症状がある方は、一度ご相談ください。
- 排便時に血が出る
- 便器が赤くなるほど出血する
- 排便時に肛門から何かが出てくる
- 脱出したものを指で押し込んでいる
- 常に肛門から出ている感じがある
- 肛門の違和感や残便感が続いている
- 急に腫れて強い痛みがある
- 便潜血検査で陽性を指摘された
- 痔だと思っているが、大腸の病気が心配
出血や脱出をくり返す場合は、症状が進行していることがあります。 また、血便の原因が痔以外の場合もあるため、早めにご相談ください。
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